月食あれこれ

月食あれこれ

みなさんは月食をご覧になったことがありますか?月食が始まると月の一部が欠けているのがわかりますが、なんとなく欠け際がぼんやりしているように思えます。例えば月食開始を見定めようと思って目を凝らしていても、いつ開始したのか今ひとつはっきりしません。それなら天体望遠鏡で拡大すればわかるのではないかと思ってがんばって観測しても、月食がいつ開始したのか、やっぱりはっきりしません。天体望遠鏡で拡大しても境界線がはっきりせず、逆に、明らかにぼやけていることがわかります。日食の時には境界線がはっきりとわかるのに、なぜでしょうか?

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月食と地球の大気

月の欠け際は地球の本影の端にあたりますが、この部分は地球の大気を通過してきた光が分散し、境界がはっきりしなくなっているのです。ですから、「今回の月食開始時刻は何時何分で・・・」と言ってみたところで、その時刻ちょうどに欠け始めるわけではありません。開始や終了の時刻は目安程度に考えておいた方がよいでしょう。ただし、食の最大時刻は目安ではなく、ちゃんとした正しい時刻です。食の最大は欠け際の話とは関係ありませんので念のため・・・。

月食と満月

満月のたびに月食が起こっているのかというと、そんなことはありません。半影月食を含めても年間4回が最大で、それ以外は普通の満月です。月の公転軌道面は地球の公転軌道面に対して少し傾いています。このため満月であっても、月の位置によっては地球の影に入ったり、入らなかったりします。図では月がAの位置で満月になると月食になりますが、BやCの位置で満月になっても月食にはなりません。平面上の2次元で考えると、満月なら必ず月食が起こるように思ってしまいますが、立体的に3次元で考えると、月食が起こる条件は厳しくなるということです。

肉眼でもキレイに見える皆既月食

皆既月食は月全体が地球の影の中へ入ってしまう現象です。そういうと、影の中は太陽の光が届かないので、月が完全に見えなくなるように思います。しかし実際はそうではありません。月食が起こるたびに毎回明るさが違いますが、どんなに暗い月食でも、月はほんのりと見えています。明るい月食の場合は月がオレンジ色や赤銅色に輝いて、その美しさに酔いしれてしまいます。皆既月食中の月は意外と明るいのです。

皆既月食と光

皆既月食では月が地球の影の中へ完全に入り込みます。月は太陽の光が届かない影の中にいるはずなのに、どうして肉眼で見ることができるのでしょう。それは地球の大気によるしわざです。光は密度の異なる物質を横切ると進路が曲げられ屈折します。お風呂の水の中へ手を入れた時のことを思い出してください。水面を境にして手が曲がっているように見えませんか。空気と水という密度が異なる物質を通過することで光が屈折したのです。これと同じことが地球の大気を通過する光にも起こります。しかも、大気を通る距離が長いほど光は強く屈折します。言い換えると地表近くを通過した光ほど濃い大気を通過するので大きく屈折し、地球本影の中心まで届きます。このような理由から、皆既月食中の月は肉眼でもほんのり見えるのです。

日食と光の届き方

大気中のチリや水蒸気が多いと、それだけ光が遮られてしまいます。当然本影の中に届く光は弱くなるでしょう。例えば大規模な火山の噴火が起こると大気中に浮遊するチリの量が増えて、暗い月食になることが知られています。

皆既月食と赤い月

月食が進んで月が欠けた部分の割合が大きくなってくると、本影に近い側から月の色が次第に赤っぽくなってきます。そして、皆既月食を迎える頃になると、赤銅色やレンガ色といった独特の色合いに染まります。これは皆既月食でしか味わうことができない独特の美しさです。でもどうして皆既月食中の月の色は赤くなるのでしょうか。地球には大気があることはご存知のとおりです。ところでよく晴れた日の日中、空の色は青い色に見えますが、どうしてかわかりますか。それは太陽光が地球の大気を通過する際、青い光が散乱されるからです。波長の短い青色の光は大気中の小さなチリによって反射されやすく、大気によって散乱し吸収されるのです。逆に波長が長い赤い光は散乱されにくく、青い光と比べて大気の中を通過する割合が高くなります。大気中の長い距離を進んだ光、言い換えると地表近くへ向けて進入してきた光ほど散乱されやすくなり、赤色の光だけが残ります。日の出や日の入り頃の太陽を思い出してください。赤い色をしていますね。皆既月食中の月も同じ原理で赤くなるのです。

2016年の半影月食

半影月食は意外に起こる回数が少なくて、数年に一度の割合でしか見ることができません。しかし2016年は、1年の間に3度も半影月食が起こります。2回目はもう少しで月食にならないギリギリのところで踏みとどまります。そして3回目は本影をギリギリ外れており、もう少しで本影月食となるところです。このような厳しい条件をクリアした結果、年間3度の半影月食を達成しています。

3月23日

まず、2016年1回目の半影月食は、3月23日の夕方に起こります。下の図は地球の影を通る月の経路を描いたものです。月は地球の半影の北側を通過していきます。最大食分は0.8ですから比較的大きなものです。

8月18日

2度目の半影月食は8月18日の夕方に起こりますが、今回は非常にきわどいものです。月は半影北側の端をギリギリかすめて通過し、ほとんどニアミスといった感じです。食分も0.02を下回っています。肉眼はもちろんですが、写真撮影をしても月食が起こっていることに気づかないでしょう。

9月17日

最後の3回目は、9月17日に日付が変わってから深夜に起こります。月は地球が作る影の南側を通過していきます。8月18日とは反対に、今回の食分は0.93ということで、本影の近くまで大接近します。

月食と日食

月食は日食と比べて多く見られるように思いませんか?月食は平均すると年に1度くらい見られますし、2010年のように年に3度も見られることだってあります。皆既月食も数年に一度は起こって、年に2度見られる年だってあります。それと比べて日食は数年に一度しか見ることができません。さらに皆既日食となると、場所を固定とると3300年から400年に一度しか見ることができないとも言われています。日食は月の影という狭いエリアに入らないと見られないのに対し、月食は月が昇ってさえいればどこからでも見ることができます。その違いが月食は日食よりも多く見られるという事実につながっているのです。

月食の数

日食よりも月食の方が多く見られるのは事実ですが、しかしこれは、観測地点を1箇所に固定した場合の話です。地球全体で起こる回数を比較すると、日食よりも月食の方が起こる頻度が少ないのです。例えば20世紀に起こった回数をカウントすると、日食が228回であるのに対して月食は146回(本影食のみ、以下同様)でした。また、21世紀に起こる回数では、日食が224回なのに対し、月食は142回しか起こりません。さらに西暦3000年までの5千年間で比較すると、日食が11898回、月食は7686回で、やはり月食の方が3割以上も少なくなっています。

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